【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】
探しに出て少し経った頃。海岸沿いを走り回りながら、もう何度目かの義丸の名を呼んでいた時だった。
私が来た道から「鬼さーん!」という麻言の呼び声が聞こえた。
「麻言! 何でここに……」
「皆さんには、とりあえずお食事だけ提供して僕も探しにきましたっ!」
「そ、そうなのか……っ。っすまない」
「謝らないで下さい。――鬼さん、義丸さんの居そうな所は他に心当たりは……?」
「義は……、義丸は昔から嫌な事が合った時、誰もいない海岸付近にいく事が多くてな……」
数は少ないが、今みたいに私と昔諍いを起こした時も決まってそういった場所にいた。
あまり本当の自分を見せたくない義丸の事だから、感情が高ぶった姿を見られたくないからだろう。
私の言葉に麻言は「解りましたっ!じゃあ、僕は反対の海岸沿いを探しに行ってきます」と頷くと踵を返して駆けて行った。
麻言も忙しいのに、本当に申し訳ない……。
とにかく、一刻も早く義丸を探し出さねければ。
それから随分と探したが、まだ義丸は見つからない。
もう昼も近いというのに。
焦りのあまりつい歯噛みしていた時だった。
「――鬼蜘蛛丸の兄貴~っ!」
網問が私の来た道から追ってきていた。
「義丸の兄貴っ、見つかりましたよ~っ! 麻言と一緒に帰ってきてますっ」
「ほっ、本当かっ!」
ほっとするあまりに眉尻が下がった。
そうか、見つけてくれたのか……。
心の中で麻言に感謝し、彼女に会う時もきちんと伝えようと思った時だ。
「えっと、後……義丸の兄貴が『水軍館近くの浜で話がある』って、言ってました」
水軍館近くの浜……? 何でそんな所で。
「とにかく、解った。すまんな、網問。有難う」
「いえいえ、お気になさらず!」
そう言って網問は笑った。
そして、共にもと来た道を戻っていった。
「――で、麻言までなんでここにいるんだ?」
帰ったらすぐに水軍館近くの浜へ向かった。
そして、今義丸と対峙しているのだが……その義丸の横に、こじんまりと麻言が立っている。
「あ、鬼さん、僕心配で着いてきちゃいまして――」
言いかけていた麻言を義丸が手で制した。