【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】
鬼蜘蛛丸の話「喧嘩【後編】」
「おいっ、義っ! 何処にいるんだ!?」
海岸沿いを私は、必死に見回しながら義丸を探していた。
ああ、畜生……っ! 私はなんて事をっ。
先程私が義丸に仕出かした事を思い出して、自身を叱咤する。
だが……、止められなかった今回は。
自分の中の衝動を。
花街帰りの義丸を見るのは、最早日常と言っても良かった。
しかし、その事で何度か刃傷沙汰になりかかった事もあれば――
後こう言う事を考えるのは、あの町で暮らす人間には失礼かもしれないが、病気になる可能性だってある。
何だかんだ呆れたりするものの、昔からの大事な友人だ。
色々心配ではある。
だが、今日は……。
花街の女の匂いをちらつかせた義丸が、軽く笑いながら麻言に触れようとした事に腹が立ったのだ。
私自身も何故こんなに腹を立てたのか自分自身で解らなくて正直戸惑ったものの。
譲れなかったのだ。今回は。
しかし、いざ義丸が走っていく後ろ姿を見た時に抱いたのは自己嫌悪だった。
どうするべきか当惑していた私に麻言が「鬼さんは、義丸さんを追ってあげてください! ここは僕に任せてくれたらいいですからっ」と落ち着かせるように言ってくれた。
「俺も麻言を手伝いますので! 安心して行ってきて下さいっ」
後からやってきた網問もそう後押しするように言ってくれた。
「――すまないっ、二人共!」
そういうと、私は炊事場を後にして義丸を探しに出た。