【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】
「――ほうですか、ふぉれで義丸さん走って行っちゃったんですね~」
持ってきたおにぎりを頬張りながら、隣で納得したように頷く麻言。
ちなみに、それは俺に持ってきてくれたおにぎりだ。
何でも、朝飯を食わずに探しに来てくれたらしく……。
先程盛大に腹の虫を鳴らしていたのだ。
居た堪れない様に、顔を真っ赤にさせていた麻言に笑いながら勧めた。
そんな俺は、麻言に鬼蜘蛛丸に抱いた気持ちを気付けば正直に話していた。
「……朝帰りなんて、今までしょっちゅうあったのによ……。何でだろうな、今更……」
おにぎりを見つめながら、ついしょげた口調になっていた。
だが本当に、今更だ。
……しかし、もしかしたらいい加減嫌気がさしちまったんだろうか?
「聞いてみたらどうですか、鬼さんに」
さらりとそんな事を言う麻言をぎょっと見つめてしまう。
他人事だからってそんなあっさり言う事ないだろう。
そう言いたかったが。
口調はのんびりあっさりしていたのに、俺を見るその眼はとても暖かい。
そんな眼で見ている相手にそんな言葉を投げられなかった。
「義丸さん、僕は義丸が思った辛い気持ちを聞くことはできても……、鬼さんの真実は鬼さんにしかないんです。だから、ちゃんとお話した方が良いですよ」
大事なお友達なんでしょう。
そんな風に言われると、何も言えなくなってしまう。
だが、こんな年の男でありながら情けないとは思う、が……正直、鬼蜘蛛丸の今の気持ちを知るのが怖い。
「大丈夫ですよ」
そんな俺の気持ちを読んだかの様にタイミングよく麻言がそう言って笑った。
まるで後押ししてくれるように。
しかしそのおかげで、俺の気持ちは少し軽くなったような気がした。
苦笑しながら、俺は溜息をつくとゆっくりと立ち上がって、
「じゃあ、情けないとこを見られたついでだ」
しゃがみ込んでいる麻言に向かって俺はこう言った。
「一緒に――、付いてきてくれないか?」