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【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】

第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】




義丸の話「喧嘩【前編】」



「義さぁん、また来てね~」
「おうよ、またな~」

早朝。快晴の空の下。
甘い声を出して後ろからそういう女に対して寝ぼけ眼でそう答える。
相手は昨日一夜を共にした女だ。
やっぱ、一睡もしてねえと堪えるな。
帰ったら、飯食って昼まで寝るか……。
そうぼんやりと思いながら俺は、花街を後にした。


帰ってくると、丁度飯時近くだった。
と、いうのかまあそれぐらいに帰るのを計算してたんだがな。
昨日寝た女は朝食を作ると言ってくれていたが、帰ってから食うからと断った。
それぐらいに、“あいつ”の作る飯は楽しみだからだ。
ちょっと早く着いたついでに炊事場にいるであろうその人物に挨拶しに行こうと思ったら、

「――おっ、義っ。お早う! ……今帰ったのか?」

炊事場前にいた鬼蜘蛛丸と鉢合わせした。
何処に行っていたのか察しがついているのであろう同期兼、上司は俺を見ると呆れたような眼で見てきた。

「おう、お早う。って、言うのも何だか変な感じだがな」
「その様子だと、一睡もしてないみたいだな? 身体を壊すぞ」
「あ~、はいはい。鬼蜘蛛丸、朝から説教は止めてくれよ~。頭に響く。――それより、なんでお前がここに?」
「人手が余ったんで、お頭に麻言を手伝ってくるように頼まれてな。いやぁ、私もたまには料理をしないと腕が鈍っちまうから助かるよ」

そう言って鬼蜘蛛丸は笑顔を見せた。
俺は料理に興味が無いから、気持ちは解らんが旧友が嬉しそうなのを見てるのは、まあ悪い気はしない。
炊事場の扉を鬼蜘蛛丸が律儀に軽く叩くと、中から麻言の「はいはい、どうぞ?」という声が聞こえた。
扉が開かれると、途端に立ち込められた湯気が逃げていく。
すんと嗅げば、美味そうな匂いが鼻を満たす。
今朝は煮物か。

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