【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第1章 兵庫水軍との邂逅
ドドオオオオオンッ!
豪音を立てた疾風の石火矢。
勢い良く放たれた弾は目標へ向かって真っ直ぐに翔んだ。
―そして、水飛沫が上がったと共に疾風と周囲にいた水夫達は
確かな手応えを感じ取る。
先程から、弾をかする程度であったが
ようやく鮫に大きな痛手を与えることに成功したのだ。
「―よっしゃ、命中…っ!」
疾風がぐっと拳を握りしめると同時に、
周りで歓声が上がった。
「うおおおっ!さっすが風太夫っ」
「おいっ!見てみろよ…っ!
鮫の奴恐れをなして逃げていくぞっ」
束の間旋回していた鮫だったが、
やがて船から逸走するように泳いでいく。
一瞬、皆大きく歓声を上げようとした。
しかし。
遠く離れいく鮫は徐々に速度を上げると、
大きく湾曲したのだ。
船へ向かって。
速度は更に上昇していく。
『―っ!全員船にしがみつけえええっ!!』
これから起ることを予測した疾風、蜉蝣、鬼蜘蛛丸は叫んだ。
一目散に皆はなるべくしがみつきやすい場所へ移動した。
そして鮫は速度を緩めることなく、船体に向かって体当たりをしたのだ。