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【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】

第1章 兵庫水軍との邂逅




第四話「少年対鮫」


時は、ほんの少し遡る。

出現した鮫を相手に水夫達は火縄銃や石火矢の雨を降らせていた。
━━しかし鮫はその巨体と相対して素早く、
そのほとんどを躱し致命傷を受けずにいたのだ。
海中で逃げ回る鮫を追い回すように、
右往左往と水夫達は駆けるがまるで埓があかない。

「うえぇえええぇぇ…」

…その上先程まで皆に指揮していた兵庫第三協栄丸は
船酔いで機能不全に陥っていた。

「お頭ぁ~…しっかりして下さいよぉ…」

隣では由良四郎が心配そうに背中をさすってやっている。

「…今日は珍しく長いこともってたんだがなあ…」
「ま、まあ、お頭ですから…」

傍で見ていた蜉蝣に鬼蜘蛛丸が
曖昧な笑みを浮かべながらそう返す。

「仕方ない…。おいっ!網問っ」

蜉蝣が近くで交戦していた網問を呼び止めると、
「はいっ」と返事をして駆けてきた。

「すまんが疾風の奴と
『あいつ』の見張りを代わってきてくれ」
「解りましたっ!」

言われるやいなや、颯爽と船内へ走る。
踵を巡らすと蜉蝣はふと一人の人物に目をとめた。
━━重だ。
石火矢を抱えて他の水夫達と同様に駆けているが、
どうにも足元が頼りなくふらついた様にも見える。

そういやあいつ…今朝から海中の探索だの、
あの不審者の救助だのでぶっ続けで泳ぎ通しじゃねぇか。

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