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【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】

第2章 お屋敷での共同生活


「あ、じゃぁ一つだけお聞きしたいことが」

ノギがそう切り出したころには
すでに空を駆けていた。

「たっか!え!?空を飛んでるのか!?」

驚きすぎて敬語も忘れはしゃいでいるノギに
私はふふ、と肩と揺らした。

『私とこれから移動するときはこうやって移動するからね
瞬時に行きたいところへ行くことも、まぁ出来なくはないんだが
私がこっちのほうが好きだから。
いい眺めだろう?』


すでに山全体が見渡せるぐらいの高さまでは来ていて
うっすら下のほうに下界も見えている。


「えぇ、とても。
この姿は人間には見えないのですか?」

はぁ、とため息をついて話す辺り
本当に綺麗だと思ってくれているらしい。

『見えないさ。妖たちには見えているけどね。
ノギ、お前も人間からはもう見えないよ。』

契約を済ませた時点で、意図しなければ
基本は人の目には映らないよう、まじないをかけてある。

一瞬、ノギの体が強張ったのを背中で感じたが
気付かないふりをして続ける。

『お前はね、もう人間じゃない。
自分は人間だっていう、概念を捨てたほうが楽になるさ。
そうだね、さしずめ、狐に化かされたってところか。』

喉の奥でククク、と笑ってやれば、

「狐様、どうかご勘弁を」

なんて耳元で言う。

いつの間にか強張っていた体からも力が抜け
背に身を任せている。
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