第3章 ~弐~FRIEND
あの忌まわしい事件から二日後、治療を終えたオレは宿舎に帰って来た
青鹿と蟹沢が亡くなったことで十日間の休校になっていた為、残り一週間をどう過ごそうなどと考えていた
「…とりあえず飯でも食うか」
俺は宿舎の食堂に向かった。
そこで聞いてしまった――
食堂の前に着くと中から数人の声がする
(こんな時間に誰かいるのか?…あぁうちの組のヤツか)
気にも留めず入口の扉を開けようとすると、ある声が聴こえてきて思わず開けるのを止めた
「なぁ聞いたか昨日の話」
「あぁ…青鹿と蟹沢も無念だろうな。それより問題は檜佐木だよ」
「檜佐木がどうしたって?」
「檜佐木君ケガして傷痕残るらしいよ?」
「え~可哀想...あ、でももっと可哀想なのは青鹿達か」
「特進学級の主席様でもそんなヘマするんだな?名誉の負傷ってやつ?」
「しかも一年とサラちゃんに助けられたんだと」
「えっサラちゃんはまだしも年下に?それって情けなくない?」
「まぁ...ハルカさんにケガなかったのだけが唯一の救いだな」
「実はサラが一番強かったりして…檜佐木君もう少し頑張ってくんないと~特進学級が低く見られるじゃん!!」
「お前それ言い過ぎ(笑)」
オレは耐えられなくなってその場から離れた
その時からオレを視る皆の視線が気になる
オレが通った後は皆、ヒソヒソと何かを話している
テメェが一体何を知ってるって言うんだ……
勝手な事言いやがって……
でも
事実だった
実際一年が来てくれたおかげで逃げ出せた
サラのおかげで死なずに済んだ
何が主席だ
オレは誰も護れない
誰も護ることなんて出来ないんだ―――
結局オレは昔の弱虫のままだった