第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
ミホークがどこかへ出掛けていってから1週間。
世界情勢を知ることも海賊に必要なことなのだろうか、ミホークは普段から新聞をよく読む。
彼が戻ってくるまでは勝手に捨てることができないから、ニュース・クーが毎日シッケアール王国に落としていく新聞は溜まる一方だ。
ゾロとペローナは見向きもしないそれに目を通し、保管しておくのはクレイオの役目だった。
「え・・・」
夕方、居間で新聞を読んでいたクレイオの手が止まる。
その日の一面を飾ったのは、天竜人の豪華外遊。
家来や護衛、夫人や愛人ら総勢500人近い訪問団がどこを訪れようと、クレイオには興味のないこと。
しかし、彼女の目を引いたのは、社会面のページに載っていた小さな記事だった。
『魔女狩りの祟りか、村が一夜にして焼失』
法で禁じられている魔女狩りを密かに行っていた村に大火事が起こり、住民が大勢死んだという。
その村がある島の名前は、ミホークが外出する前夜、彼の部屋にあった新聞に載っていた島と同じ。
しかも、クライガナ島からその島が浮かぶサウスブルーまでの距離を考えると、事件が起こった日付と、ミホークの船“棺船”での移動時間が合致する。
「まさか・・・」
震えながら小さな文字を目で追っていくと、火事は酔っぱらった海賊が放火したのが原因だとされているようだ。
しかし、何十人もの犠牲者を出したのに、その海賊団の名前が明かされていないところを見ると、何等かの“圧力”によって伏せられているのかもしれない。
「───!!」
突然、強い眩暈を感じたかと思うと、15年前の記憶が強い閃光とともにフラッシュバックした。