• テキストサイズ

【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第2章 ある娼婦と海賊のはなし ~ゾロ編~



「だから、私はそれまで何としても弟の命を守る。幸い、父の会社で副社長をやっていた人の口利きで、医者には診てもらえているの。薬もね。正規の値段の3倍はするけれど・・・」

そうでなければ、この島にクレイオ達を助けようとする人間などいない。

事故からたった5年。

まだ悲しみが癒えていない遺族もいる。
失業して路頭に迷った人もいる。
クレイオが昼間、町を歩くだけで石をぶつけてくる者もいる。

「昨日、私を鞭で叩いていた男が、その副社長だった人。父の会社が潰れたせいで人生が狂ってしまった一人で・・・」


『お前と父親のことを許す者はこの島にはいないだろう。それでももし、弟を助けたいというならば・・・』


「私が身体を売ることを条件に、弟に治療を受けさせてくれると約束してくれた。私にお金を稼ぐことができるのは、この方法しかないだろうって」


まだ女として未発達だった頃から、売春を余儀なくされた。
それでも、弟の苦しみが緩和されるなら耐えることができた。


「その後、彼はマフィアとなって島中に権力を伸ばしている・・・ゾロ、貴方が昨日騒ぎを起こしかけたという私の客はその人の部下よ」

「・・・気に入らねェな」

欲望のかぎりにクレイオの身体をなぶる男の顔を思い出すだけで、怒りが込み上げてくる。

「弱みにつけこんでるだけじゃねェか、そいつら」
「どんな形であれ、私にとっては“恩人”だから、たとえ人間扱いされなくてもいいの」
「そういやお前、なんで昨日あの炭鉱で殴られてたんだ?」
「それは・・・」

クレイオはゾロから目を外すと、頬を赤く染めた。



/ 1059ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp