第2章 ある娼婦と海賊のはなし ~ゾロ編~
「どこまで酷い人なの・・・貴方・・・」
「あァ? お前にとって都合がいい話を持ち掛けてんじゃねェか!」
「だって・・・私を抱いてくれないばかりか・・・」
娼婦の涙は、止まる気配もなく流れ続ける。
「そんな風に優しくされたら・・・もうこのナイフを握ることもできなくなるじゃない・・・」
娼婦でいさせてくれないばかりか、娼婦を辞める“唯一の手段”まで奪おうというのね・・・
「私には・・・ゾロを傷つけることなんてできない」
「・・・・・・・・・・・・」
ベッドの上で項垂れるクレイオを見つめるゾロの瞳には、もはや警戒心も殺気もなかった。
あるのはただ、泣き崩れる娼婦を包み込む優しい眼差し。
「───話せよ」
そこまでお前を追いつめた、その理由を。
「お前が抱えているもん、全部おれに話せ」
“私が買った娼婦さんの時間、どう使うかは剣士さんに任せるわ”
ニコ・ロビン・・・文句は言わせねェぞ。
これがおれの“使い方”だ。
ゾロはクレイオを見つめ、微笑んだ。