第2章 ある娼婦と海賊のはなし ~ゾロ編~
とりあえず水を飲みにダイニングへ向かうと、案の定、待ち構えていたようにナミが物凄い剣幕で詰め寄ってくる。
「ちょっと、ゾロ!! 二日も外泊するなら連絡ぐらいよこしなさいよ!」
「あー、悪かった」
「自分がアラバスタの一件で賞金首になったって自覚してる?! 6000万ベリーが懸けられてるのよ!」
「・・・結構なことじゃねェか」
「それだけアンタの命を狙う奴が増えるってことよ!」
「返り討ちにすりゃいいだけの話だ」
片腕を椅子の背もたれにかけながら面倒臭そうに言ったゾロに、ナミは頭を抱えた。
「まったく・・・アンタが騒ぎを起こしたら、私達が困るって話をしているの!」
「いいじゃねェか、ナミ。無事に帰ってきたんだからよ」
鼻くそをほじりながらあっけらかんと笑っているのは、ルフィ。
この男の首にも1億ベリーの大金が懸けられている。
今のところ港には他に大きな海賊がいないようだが、いつ海軍がくるか分からない。
無事に出航するまでは、とにかくおとなしくしていたいというのがナミの心情だった。
「とにかく、明後日に出航するまでは一人で勝手に行動しちゃダメよ、分かった?」
「分かったよ、うるせェ女だ」
これ以上ここに居たら、怒鳴られっぱなしになるだけだ。
甲板に出て筋トレでもしよう。
ゾロが不機嫌な顔でダイニングを出ていくと、ちょうど入れ替わりにサンジがナミに紅茶を持ってきた。