第2章 ある娼婦と海賊のはなし ~ゾロ編~
窓から差し込む日の光が赤く染まっていくにつれて、段々と暗くなっていく部屋。
「ねぇ・・・ゾロ」
「・・・なんだ、まだ起きてんのか?」
ゾロの酒を飲む音しか聞こえない静けさの中、やんわりとした心地よい眠気がクレイオを包み込む。
「ゾロの故郷は・・・どこ?」
「イーストブルー」
“東の海”・・・ここにたどり着くにはレッドラインを越えてきたということか・・・
「貴方は・・・私の知らない世界をたくさん知っているのね・・・」
「・・・イーストブルーからグランドラインに入って、この島に辿り着くまでのことぐらいしか知らねェが」
「それでも、この島しか知らない私にとっては羨ましい・・・」
ゾロ・・・
私は、貴方がどういう海賊なのか、もっと知りたい。
そして、貴方の仲間達のことも。
夕日に染まった、真っ赤な部屋。
レッドラインの土も同じ色をしているのかしら・・・
「お願い・・・私が眠るまで、ゾロが見てきたものを話して聞かせて・・・」
そうしたら、深く眠れるような気がするから───
「そういうのは苦手なんだがな・・・」
ガリガリと頭を掻きながらも、低い声で語り始める。
面倒くさい“船長”に出会ったことから、ゆっくり、ゆっくりと。
「・・・そんで、次はウソップっていう狙撃手が・・・」
クレイオの瞳が閉じられるまで、不器用な語り手は思い出を言葉にする。
その日。
クレイオは初めて・・・
一人の男にも抱かれず、衣服を脱ぐことすらせず、この部屋で眠りについた。
途中目覚めれば、また再び眠りにつくまでゾロの話に耳を傾けながら・・・