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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第2章 ある娼婦と海賊のはなし ~ゾロ編~



「見ねェ顔だな・・・お前は誰だ? おれを誰か分かって言ってんのか」

「おれが誰かなどお前にゃ関係ねェし・・・お前が誰かなどおれにゃ興味もねェな」

「・・・テメェ!」

どうやら相手は随分と短気な性格のようだ。
古ぼけた板張りの床を踏み抜かんばかりの勢いでゾロに詰め寄ると、首元に掴みかかってきた。

好都合、と思った。
ゾロは口達者ではないので、暴力で返してきてくれた方が助かる。

客はおそらく、ゾロを強引に自分の方へ向かせ、顔を殴るつもりだったのだろうが、逆にその腕を掴んで捻り上げた。

体格では一回り劣っているゾロが、ここまでの腕力は想像していなかったのだろう。
骨が砕けそうなほど右手首を締め付けられ、客は悶絶している。


「痛ててて!!」


こんな雑魚、刀を抜くまでもない。


「お客さん! この方には手を出さない方が・・・」

店主が慌ててゾロを止めようとしたが、もう遅い。
そもそも、最初に手を出してきたのは向こうだ。

「・・・野郎ッ!!」

ゾロに掴まれている右腕ではなく、左手で腰の拳銃を取ると、ためらいもなく引き金を引く男。
しかし、銃弾はゾロに当たることなく、カウンターテーブルにめり込んだ。


「ひぃぃ・・・!」


店主が悲鳴を上げながら、カウンターの向こうで蹲っている。

ここに他の客がいなくてよかった、とゾロは思った。

巻き添えにする人間が少なくて済む。
一応、騒ぎは最小限に抑えておかないと、あとでナミにドヤされるからな。


「お前・・・銃をブッ放したということは、覚悟ができてんだな・・・?」


掴んでいた腕を離し、男から数歩距離を取る。


「死ぬ覚悟だ」


一刀流での間合い、5メートル。
ここで刀を抜いたら、店に影響が出ることは必至だ。


「・・・・・・待て・・・お前・・・」


ゾロの佇まいを見た客は、何かに気が付いたのか、顔面を蒼白にさせた。





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