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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第6章 真珠を量る女(ロー)







もらった地図を頼りに行ってみると、そこは小さな両替商だった。
おそらく不法なのだろう、看板もなければ、“OPEN”のサインもない。

ぼったくりBARの次は、不法両替商か。
海軍本部の目と鼻の先にありながら、堂々としたものだ。

だがそれは、海賊である自分も同じこと。

ローは先ほどと同様、躊躇うことなく店のドアを開けた。


「いらっしゃい」

出迎えたのは、ローと同じか、それよりも少し若い女。

あまり陽の光を浴びていないのか、肌は血管が透けて見えるほど白く、二つの瞳はまるで深海魚のように薄暗い部屋の中で光っていた。

「なるほど、確かに両替商のようだな」

たった20平方メートルほどの店内には所狭しと棚が設置され、それぞれに古ぼけた革袋や錆びた銀製品、羅針盤など、現金と交換しただろう“宝”の数々が並べられている。

入り口正面には、深緑色のカバーを敷いた大きなテーブルが一台。
机上には真珠や宝石が散らばり、女はその手に天秤を持っていた。


「お前がクレイオか?」

「貴方の財産を量るのに、私の名前が必要?」


アンティーク独特の匂いが立ち込める中、女は興味なさそうに答える。

ローはふと、“この女はいったいどこの出身だろうか”と思った。
少し黄色がかった肌や黒い髪と瞳は、“新世界”に浮かぶある島の人間を彷彿とさせる。

そこは鎖国国家であるため、その島の人間を直接見たことは無いが・・・


「ある男を探している。お前に聞けば分かると聞いてきた」


両替商が持つ、華奢で優美な天秤。
それが揺れるたび、ローは自分の魂の重みを量られているような、居心地の悪さを感じた。


「見ての通り、ここは物の価値を量る場所。人探しなら他を当たって」


女はそう言うと、片方の皿に乳白色の真珠を乗せた。
両替の用がない人間は帰ってくれ、そういうことなのだろうか。


「・・・5代目ホリヨシという男を探している」


その名を出した途端、天秤のもう片方に分銅を乗せようとしていた手が止まった。






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