第6章 真珠を量る女(ロー)
「客が酒を望めば酒を、ジュースを望めばジュースを、情報を望めば情報を・・・望まれたものを出した上で、法外なお代をぼったくる」
空のグラスと、ホリヨシ本人には辿り着けない情報だけじゃ、サービスとしては不十分。
「ぼったくりにも“筋”ってものがあるのよ」
そう言って女主人はニコリと笑う。
「もし無事にホリヨシに会えて、望むタトゥーを入れてもらったら、またこの店に来なよ。その時はとことんぼったくってあげるわ」
するとローも、この店に来て初めて口元に笑みを浮かべた。
「ぼったくられるのはゴメンだが、その時は情報料を支払いにくる」
「あら、律儀ね。取り立てに行く手間が省けるわ」
「こちらにも海賊の“筋”ってモンがあるからな」
“最悪の世代”と謳われ、“死の外科医”の肩書きを持つ、2億ベリーの賞金首。
かつて海賊だった女主人にとっては、今のローなどただの“ボーヤ”にすぎないが、それでも彼は何かを感じさせる。
同じ世代の中では、まるで“麦わらのルフィ”みたい。
それが、これからの時代にとって“良い風”となるか、“悪い風”となるかは分からないが・・・
「楽しみにしているわ」
“海賊王の右腕”として知られる元・大海賊と深い仲にあるシャッキーは、彼への期待からか軽く鳥肌が立つほどの高揚を覚えていた。