第6章 真珠を量る女(ロー)
「ホリヨシ自身に直接会う方法はねェのか?」
「だから、ホリヨシに会いたいならまず、彼女のところへ行きなさい」
「・・・・・・・・・・・・」
残念ながら女主人はそれ以上、何かを答えるつもりはないようだ。
おそらく島中を調べ回っても、この女以上の情報を持っている奴はいないだろう。
ローは店主から地図を受け取ると、スクッと立ち上がった。
「とにかく、このクレイオという女に会えばいいんだな・・・」
「ええ、そうよ」
「分かった・・・で、この情報はいくらだ」
5代目ホリヨシの居場所を知る女の店への地図。
さて、何十万ベリー・・・いや、何百万ベリー要求されるか。
すると、女主人はフウッと紫煙を吐くと、ニッコリと笑った。
「タダでいいわよ」
その瞬間、べポとシャチが“えー!”と驚いた声を上げる。
飲み物には法外な値段をつけるくせに、情報はタダで渡すとは・・・
これには懐疑心の強いローも眉間にシワを寄せた。
「ガセじゃねェだろうな?」
「あら、そこは信じて」
容姿からは想像もつかないが、ローの倍は生きている女主人。
煙草を燻らせながら笑みを浮かべる。
「トラファルガーちゃんの質問は、“5代目ホリヨシはどこにいるか”でしょ」
「ああ・・・そうだが」
「私はただ、ホリヨシの居場所を知る女の子のことを教えただけ。彼女に認められなければ、貴方はホリヨシの顔も見ることができない」
「・・・・・・・・・・・・」
「そうなれば、私はトラファルガーちゃんの要求に応えられなかったことになる」
整った顔立ちながら、どこか暗い陰を漂わせるロー。
鋭い眼力とは対照的な、その目の下の濃いクマは脆さすら感じさせる。