第2章 サクラ散る頃
「おはよう夢主(妹)ちゃん。」
「うわぁっ」
後ろから沖田先輩の声がして、思いきり驚いてしまった。
「ひどいなぁ。そんなに驚かなくてもいいじゃない。」
慌てておはようございますと付け足す。
「胴着持ってきたんだね。楽しみにしてるよ。」
そう言ってまたまたウィンクする沖田先輩。
まじで反則…なんなのこの人…
真っ赤になってしまった私を楽しそうに見ながら、
「おはよう夢主(姉)ちゃん。剣道はもうやらないの?」
と、ニヤニヤしながらお姉ちゃんに言う。
「私が剣道やってる姿見たらお腹抱えて笑うって言うんでしょ?」
「わかってるじゃない。昨日夢主(妹)ちゃんに聞いた時、想像しただけで腹筋割れそうだったよ。」
はぁ…、とお姉ちゃんは溜息をついて、ニヤニヤしてる沖田先輩を無視した。
学校について、下駄箱で別れる。
「じゃあね、夢主(妹)。今日は剣道してくるんだよね?帰り暗いだろうから気をつけてね。」
「うん!ありがとう!じゃあね~!」
「大丈夫だよ。僕が送って帰るし。じゃあ夢主(妹)ちゃん、またね。」
そう言ってお姉ちゃんと沖田先輩は三年生の下駄箱へ行った。
二人の背中を見てると、う~んなんだかお似合いなような…。
ああいけないいけない…お姉ちゃんには彼氏いるし、沖田先輩とは仲良しな友達って言ってたし。
ああなんでこんな風に考えちゃうの…
もやもやと考えながら教室に入った。
「おはよう苗字さん。ねえ、沖田先輩と知り合いなの?」
「朝一緒に来てたよね?いいなぁ!」
「え?え?」
「沖田先輩、超かっこいいって有名じゃん!もしかして知らなかったの?」
かっこいいのは知ってるけど…まさか有名とは…知りませんでしたよ?
「なんか一緒にいた人は彼女なの?結構一緒にいるとこ見るけど。」
お姉ちゃんのことかな?やっぱりそう見えるよね…
「いや、あれはうちの姉で…彼女じゃないよ?」
そう言って、このちょっと(いや、かなり)めんどくさい女子達に、沖田先輩との関係を説明する。
やっと解放されたところに千鶴が来た。
「おはよう夢主(妹)ちゃん。なんだか近づけない雰囲気だったんだけど」
「もう参ったよ…」