第2章 サクラ散る頃
気がつけば4限の授業も終わって、お昼休み。
おなかすいたなぁ。千鶴の席までお弁当を持って移動する。
なんだか教室がさわがしい。
――ちょ!沖田先輩なんだけど!
――ほんとだ!かっこいい~
ん??沖田先輩??
クラスの女子が騒いでる方向へ目を向ければ、教室の入口で私の姿を見つけた沖田先輩が、ヒラヒラとこちらに向かって手をふってる。
一気にクラス中の注目を集めた私は、なんだか動けなくなってその場に固まってしまった。
「夢主(妹)ちゃん!ちょっと来て!」
見兼ねた沖田先輩は、私を呼んだ。
は、はいっ!と、声を裏返して近づけば、はい、とお箸を渡された。
なんで沖田先輩が??と疑問に思っていると、
「君のわがままなお姉さんに渡してくれって頼まれたんだよ。」
「うわぁ…そりゃ…すみませんでした。」
お姉ちゃんのバカヤロー!!
「あはは。いいよ。だって僕、夢主(妹)ちゃんに会いたかったし。」
「な…」
なに言ってんのこの人…。
「真っ赤だよ?かわいいね。」
「か、からかわないでください…っ!」
「からかってるつもりはないけど。じゃあ、また放課後待ってるね。」
そう言ってまたウィンクをした沖田先輩。
この人…どっからどこまでほんとのこと言ってるのだろうか…完全にゆでだこ状態の私は放心する。
ふと隣にいた千鶴を見て、沖田先輩は一瞬目を細めた気がした。
「…君も、今日来るよね?」
「はい。でもあの…私は何をしたら…」
「うーん…まだ正式なマネージャーじゃないけど、何か仕事を頼むかも。」
「わかりました!」
あれ?なんか沖田先輩ちょっと怖い…?
「じゃあね、夢主(妹)ちゃん。」
沖田先輩はいつものようににっこり笑って去っていった。
気のせいかな?千鶴を見た時の目、ほんとに一瞬怖かったような…
「放課後、楽しみだね。」
千鶴はそう言って微笑んでる…気のせいかな、やっぱり。
その後、再びあのうるさい沖田先輩ファンらしきクラスの女子にかこまれ、いろいろ説明するはめになった。