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【薄桜鬼 学パロ】サクラチップス

第2章 サクラ散る頃


春になって、あいつの彼氏とやらが入学してきて…

あいつは変わった。

幸せそうではあるが…

何かが違う。



授業をさぼっても、学校には毎日来ていたはずなのに、学校に来ていないこともあった。

去年…だったか、屋上であいつを見つけた時、いつもキラキラさせてた爪がなかった。

「珍しいな。爪にも休日があるのか?」

そう言えば、寂しそうに笑って、

「私がこんなだと、一君がおこられちゃうから。ほら…一君は私を怒らないし…」

そんなことを言った。

こいつの彼氏は職員の中でも評判な優等生だ。

最近は風紀委員にも抜擢されている。

「…ほんとに一途だな。」

そう言えば、えへへと笑って、

「最近はね、一君が眩しいの。だから私もがんばらなきゃ。」

頑張る?何をだ?

なぁ、そんな顔してるお前を見て、喜ぶ彼氏がいるのかよ。

爪だってなんだってお前を怒らねぇのは、斎藤がそんなお前も好きだからだろう?

だけど…それにあいつが気がつくまで、俺はただ見守るだけだ。





合コン場所は、この変じゃにぎやかな駅にある、普通の居酒屋だ。

新八の知り合いも含めて男女合計6人。

なんの興味もわかねぇが、新八が張り切ってるんだからしかたねえ。

女の子達は、この前たまたま飲み屋で隣の席だった子達だ。

乾杯も終わって、飲み会は始まる。

宴も中盤に入れば、過去の恋愛話に花が咲く。

「俺はなぁ、淡い初恋が忘れられないわけよ。」

新八のいつもの話がはじまる。

すると、一人の女が言い放った。

「はぁ?ばかじゃないの?初恋なんてうまくいかないし。いるよね~初恋が真剣な恋愛だったとか言う人。あははははは」

別に悪気があったわけじゃねえんだろうし、新八につっこみを入れるつもりだった言葉だったんだろうとは思うが…今の俺にはカチンと来る言葉だった。

あいつらは真剣なんだよ。

もう大人になっちまった俺らには、笑えるような幼稚な恋でも、はかなく散った淡い恋でも、今…あいつの中ではそれが全てなんだ。
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