第2章 サクラ散る頃
職員室に戻って残りの仕事を片付ける。
ああ…そうだ…今日は新八に頼まれてた合コンの日だ。
正直…乗り気がしねぇ…
仕事を片付けて、浮足立ってる新八と学校を出た。
飲むつもりで来たから、今日は電車で来たのだが…車で来てたらあいつを送って行けたのにな…なんて思ったりする。
そう…今俺の頭の大半はあいつでいっぱいなんだ。
入学してきた時から一人飛び抜けた容姿に、かなり注目を浴びていた。
それからは、ただでさえ目立つのに、髪は染めるわスカートは短いわ爪をなんだかキラキラさせてやがるもんだから、校則違反の常習として、職員からも注目を浴びてた。
そして、よく授業をさぼる。
でも、毎日学校に来るんだからかわいいもんだ。
俺があいつと話すようになったのは、冬だったな…一服しに屋上やら体育館の裏に行ったときのことだ。
陰にかくれた俺に気がつかず、ガキ共はあいつに告白をする。
決まってあいつはこう言うんだ。
「ごめんなさい。大好きな彼氏がいるの。」
にっこり笑って幸せそうに。
そう言われちまっては、男共もどうしようもない。
はじめて現場に居合わせた時、男が去ってから俺はあいつに話しかけた。
「…随分と一途に想ってるようじゃねぇか。」
そう言えば、恥ずかしそうに・・・そして幸せそうな笑顔で、
「はい。初恋の人なんですよ?」
どこのどいつだ、と聞けば、まだ中坊とか言いやがる。
意外だな。この手のタイプは好きかどうかわからないまま好奇心のままに歳上に遊ばれて、いつのまにか大人になっちまって・・・妙にませてるもんだが…こいつは違うらしい。
「春になったらここの生徒になるんです。」
それはまぶしいほどに嬉しそうに。
「そりゃ楽しみだな。」
と、返してやれば、また幸せそうな笑顔で、はい、と答えた。
それから何度も同じ現場に居合わせたが、毎回同じように幸せそうだった。