第2章 サクラ散る頃
「やあ斎藤君、委員会ご苦労だね。今日は一年生が見学に来てるんだ。そこで、試合を見せようと思っていてね…」
「そうだな…うん。一君がいいな。一君、僕と手合わせしよう?」
「部長と?わかりました。」
「ちょ…部長と一君?やばいよ!!超熱い試合じゃん!」
「お二人さん、これはすごい物が見られるよ。総司も斎藤君も、全国トップレベルなんだ。」
部員達も盛り上がっていて、凄い物なんだろうというのが伝わってくる。
きっとすごいのだろうな。
うわぁ…沖田先輩って強いんだ…かっこいいなぁ。
千鶴を見れば、目線の先には斎藤先輩。
そうだよね…っていうかまさかの巡り会わせだよ…なにこれ…
考えるのが少しめんどくさくなって、私は試合を見るのに集中することにした。
試合が始まると…もう、向かいあって構えるところからドキドキした。
二人に隙はなく、どちらもなかなか踏み込まない。踏み込めば、はらわれ、なかなか決着がつかない。
沖田先輩の動きは、無駄がなくて、綺麗なのにすごく力強くて…構えて斎藤先輩を見る目には、少し狂喜が混ざっていて…私の心臓はドキドキしっぱなしだった。
それはもう…口から心臓が出るかと思うほどに。
試合は沖田先輩が勝った。お互いに礼をした後、沖田先輩は斎藤先輩にこんなことを言った。
「一君…なんか考え事でもしてた?一君が邪念を試合に持ち込むなんて、珍しいね。」
「……」
そうなの?全然隙がなかったけど…
しかし…かなりのハイレベルな試合を見せてもらっちゃったな…
どうしよう沖田先輩かっこよすぎるんだけど…