第1章 オムライス
「…?
どうかした?」
「えっ…あ、あの…
ルイは昔のシドを
知ってるんだなぁって…」
ルイは少し驚いて目を見開くも、
すぐに目許を緩める。
「羨ましい?」
「ちょ、ちょっとだけ…」
「こんなことでよければ
いくらでも教えてあげるけどね。
…そうだ。」
「?」
「昔よくお昼に食べてた
そのオムライスを作ったらどうかな。」
「普通のオムライスじゃないの?」
「ちょっと変わってたかな。
今流行りの
トロトロのオムライスじゃなくて、
昔ながらの卵で
ケチャップライスを包んだやつなんだ。
それで上にかかっているのが
変わってて、ケチャップじゃなくて、
フレッシュトマトのソースだったんだ。
たぶん当時俺の屋敷にいた
コックのオリジナルかな。」
「それがシドが好きだったっていう…」
「好きだったかどうかは
わからないけど喜んでたよ。」
「そっか…教えてもらえる?」
「うん。いいよ。
ただ、俺が作っていた訳じゃないから…
そうだな…。」