第14章 アップルパイよりも甘く ♥︎ 〜孤爪研磨〜
今日は練習を引き上げてから、晩御飯を作らなければいけない。
だけど、あたしの料理スキルがへなちょこなのを音駒のみんなは分かってるから、それぞれがお弁当を持参してくる。
だから、あたしは自由時間。
…切ないけど。ちょーー切ないけど!
『でも、練習できるもんね』
調理室は自由に使っていいから、とこっそり忍び込む。
烏野の調理時間はとっくに過ぎてるから、調理室にはあたしひとり。
『さて…!がんばろ!』
「…たのしみ」
『!?』
急にした声に驚いて、調理室の入口を振り返ると、研磨くん。
『音もなく現れるの怖いよ…』
「ノック、したよ」
『嘘』
…気付かなかった…。
「それよりさ、作ってくれるんでしょ?アップルパイ」
楽しみにしてたんだから。
そう言うと研磨くんは、あたしの傍までやってきて、近くの椅子に腰掛けた。
『……期待シナイデクダサイ…』