第14章 アップルパイよりも甘く ♥︎ 〜孤爪研磨〜
練習中は、まるで余計なことは考える時間なんてなくて。
『リエーフ!ブロック!!手が開いてるよ!!!』
『虎!!清水先輩に見とれてないで練習して!!!』
とことん叫ぶだけだった。
叫ばされるだけ叫ばされて、お昼休みになった頃にはあたしの声はガラガラ。
聞くに耐えない程になってしまった。
『…おつかれさまです、スポドリ作ってきましたよ』
「さんきゅ…結木、お前すげぇ声…」
黒尾先輩が心配そうにあたしを見つめてくる。
あたしは、深くため息をつきながら、リエーフを睨みつけた。
『一体、誰のせいでしょうね』
一息ついてしまうと、また考えなければいけない。
『…アップルパイ、どうしよう』