第14章 アップルパイよりも甘く ♥︎ 〜孤爪研磨〜
それが、つい2週間ほど前の話で。
研磨くんが言っていた、合宿。
それは3日後の話だった。
『…つ、作れるわけないじゃん…!!!』
ひとり、家でアップルパイの作り方を片手に、カスタードを作ったり、パイ生地を作ったり。
ひたすら試行錯誤してみたけど、やっぱりだめで。
パイ生地はうまく焼けないし、カスタードは滑らかにならない。
むしろ、リンゴ剥くだけでもぐちゃぐちゃ。
『…はぁ、何してんだろ……』
泣きそうになりながら、開いたウェブページ。
そこに書かれていたレシピに、あたしは釘付けになった。
『餃子の皮で…簡単アップルパイ…!?こ、これだ…!!!』
餃子の皮で、お砂糖で煮詰めたリンゴを包んで、油で揚げるだけ。
ちょー簡単!
『…だと、思ったんだけどなぁ…』
案の定、出来上がったものは半生っぽくて、美味しくない。
『油の温度がだめなのかなぁ…』
あたし、こんなので大丈夫なのかな。