第14章 アップルパイよりも甘く ♥︎ 〜孤爪研磨〜
研磨くんにまで励まされてしまって、あたしのガラスのハートはズタズタ。もうバッキバキ。
落として割ったiPhoneくらい、ぐしゃぐしゃ。
『お菓子くらい、すぐに作れるようになりますよ…!』
悔しくって、ついそんなことを口にしてしまう。
作れもしないくせに。
「……じゃあ、アップルパイ…」
『え?』
あたしの強がりに反応してくれたのは、意外にも研磨くんの方で。黒尾先輩は…というと、とうにどこかへ行ってしまっていた。
「アップルパイ、作ってよ。結木」
猫みたいな真っ直ぐな目で見つめられてしまって、あたしはもう頷くしかできなかった。
「…決まり。今度の烏野との合宿で…食べさせてね」