第10章 バカに効く薬 ♥︎ 〜花巻貴大〜
「あー、そっか…そうだね。怖がらせたいわけじゃないから…そうだなぁ、キスは、ありにしてあげる」
そう言った花巻くんは、私に顔を寄せて、優しく触れるだけのキスをした。
「…ん?なに?」
『それ、だけ…?』
ちゅ、と離れたキスが寂しくて…思わず彼の唇を追いかけてしまう。
「もう…なに、こっちがいいの」
くん、と顎を持ち上げられて、そのまま唇を合わせられる。
私の開いた唇に少しだけ舌を差し入れて、舌先で弄ぶ。
もっと深く絡めてほしいのに、そうしてくれない。
『…んぅ…はにゃまき、くん…』
「…なにそれ可愛い」
ちゅぅ、と舌が吸われて、深く絡め取られる。
舐めて、甘噛みして、吸って。
ずっと欲しかった感覚に、体の力が抜けて、ベッドに沈み込んでいく。
とろとろの花巻くんの舌が気持ちいい。
どっちのものか分からない唾液を飲み下しながら、私の頭がどんどん花巻くんに染められていく。
私の馬鹿が治るのは…。
「ほんっと…エッチなことだけは覚えるの早いね」
セックスする時。
「淫乱」