白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
その電話に俺が出たら…?
クロちゃんとこの子は
どうなって行くだろう…
黒に塗りつぶされる心は
指を動かす
[ゴメンネ、今日は帰る]
…と。
一瞬の躊躇の後
送信したメッセージ
既読は一瞬で付いて
すぐさま携帯が震える
「…」
〈姫凪!
どうした?気分でも悪いか?!
研磨に頼んで秘書の子
そっちに向かわせて
病院行っとくか?
今月の生理遅れてるって言ってたし
もしかしたら赤ちゃんが…〉
オイオイ。
そんな所まで進んでるとか
聞いてないんだけど?
もし、ご懐妊だったら
背徳感がヤバい…な。
けど、ここで何も喋らなかったら
マジで救急車呼びそうだし
「大丈夫だよ、クロちゃん
寝てるだけだから」
まぁ、こう言うしかないよね
俺の声に
深い沈黙が流れ
〈どういう事だ?
なんで姫凪と居るんですかァ?
お前の用事って
まさか姫凪じゃないよな?
なァ?及川〉
地面が割れる様な
低く重い声が鼓膜を揺する