第5章 歪みに飲まれる愛

「…会ったのはタマタマだよ」

〈へえ？そうかよ
じゃあ今隣に居るのも
姫凪が変なLINE送って来て
その姫凪の電話に
オマエが出んのも
タマタマって事かァ？〉

「…そんなわけないじゃん
寝てる姫凪ちゃんの代わりに
俺が打って
電話に出たんだよ
なんで俺の部屋で寝てるかは
想像したら分かるよね？」

我ながら性格悪いな
男の部屋で寝てる理由なんて
そんなに多くない

疑う気持ちはきっと膨れ上がるだろう
真っ直ぐなハズの気持ちも
歪んでいくだろ？

怒れば良い
冷静さを欠けば良い
それが俺には
追い風になる

クロちゃんの応えを待つ俺
黙り込むクロちゃん

今すぐ飛んで来る、くらいを
想像してたのに

〈…オイカーくんの部屋に居るんだな？
研磨の秘書の子を向かわせるから
起こしといてくんね？
眠りこけるくらい疲れてるなら
落ち着く場所で寝かせてやりてぇから〉

クロちゃんの声は
驚くほど落ち着いていて

「なに？」

俺の方が焦ってしまう