第5章 歪みに飲まれる愛

そしてその指を
ゆっくり首筋から
その下へ…。
鎖骨辺りに触れると

『（ヤダ…）』

押し返された胸
大きな声を立てる代わりに
大きく振られる首

拒否られてるのは
嫌ってくらい分かるのに

「（なにが？
エッチな顔してさ）」

それでも止められないのは
本能だけのせいじゃない

俺を睨む姫凪ちゃんの目に
色気が宿ってる気がする
俺の願望かもしれない
俺を男として意識してる
オーバーに言えば
昔ナンパで
イケるって確信した時の
あの感じに似てるんだ

「（嫌なら濡れてないよね？
好きな人にしか濡れないもんね
真面目で一途な姫凪ちゃんは）」

鎖骨から更に下に伸ばす指
小さな膨らみを通り過ぎ
細く括れた腰のその下
柔らかく乱れる
スカートに掛かる

「（一緒に確かめてみようか
濡れてなかったら退いてあげる
電話も切ってあげるよ…）
クロちゃんチョットごめん
確認したい事が出来た
一瞬で終わるから
そのまま待っててよ」