白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
マイペースなまま去って行った
岩ちゃんのせいで
今ココで!?な二人切り
「…手当て…」
『要りません
帰ります』
「…ですよね~」
空気は会った時より最悪で
もう何を言っても
聞き入れて貰え無さそうで
仕方なく帰そうかと
思ってた
その時だった
俺のポケットの中で震える携帯
「…クロちゃんだ」
このタイミングで
クロちゃんからの電話とか
本当に神様って意地悪だよね
きっと仕事が早く終わったかなんかでしょ
姫凪ちゃんはきっと
大急ぎで帰っちゃ…う?
『(え、鉄朗…なの?あの…)』
電話の向こうのクロちゃんに
声が漏れない様に
喉を締めてポツリと絞り出す声
コレってまさか…
頭に巡った
俺の悪巧みは
「(シーッだよ、姫凪ちゃん。
バレたくなかったら…ね?)」
『!!嫌…ンッッ!』
「(聞こえるってば)」
効果覿面みたいだ。
俺の目の前で固まる表情に
ゾクゾクと肌が粟立つ
可愛いね、キミは。
でも、その可愛いキミの頭の中を
イッパイにするのは
今迫ってる俺じゃないんでしょ?