白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
『!?
…い、いりません!
マグカップくらい自分で買えます
それよりいつまで付いて来るんですか?
そろそろ離れて下さい
私は鉄朗の部屋に…帰る…』
「嫌だね、バーカバーカ。
クロちゃんの部屋に帰るって
聞かされたら余計に
離れたくなくなった」
姫凪ちゃんの手を取り
引き寄せ様として
「怪我、してるじゃん」
指に結構大きな
切り傷を見つけた
『さっき…マグカップ落として
掃除した時にチョット…
こんなの大したモンじゃ…』
「いや、結構深いよコレ
チャント処置したの?
適当にしてて酷くなったら
どうするのさ」
『平気ですよ…とにかく離して…』
姫凪ちゃんの言う通り
キズは派手に見えるけど大した事なくて
大騒ぎする事じゃないんだけど
「傷を甘く見て
大変な事になった後輩が居たんだけど…」
口実は取りこぼしなく
使いたいじゃない?
『え…大変な事って…』
「キノコ生えて来たり…」
…ハハ。
我ながらウソくさくて呆れるね