白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第3章 消せない昔、消えない今(前)
中を指差して
懐をゴソゴソと探るクロちゃんが
俺の隣に並ぶ
「ふーん。
あ、火要る?」
タバコを取り出したクロちゃんに
火を差し出すと
「ああ、平気」
俺の火を断り
自分で先を燃やし
「ちょーっとオイタが
過ぎるんじゃないですかァ?」
タバコを挟む俺の指に
煙を吹きかけた
「なに?」
ドキリと跳ねる心臓
心当たりは余りあるけど
認めたらヤバイでしょ
なんて、考え甘かった
「言われねぇと分かりませんかァ?
姫凪の手掴んだのは
この綺麗な手デスカ?」
「ちょっ…待ちなって
アレはなんてゆーか…」
認める認めない
バレちゃってた!とかそんな
軽い感じでもない
「…オイカーくんが
どこの女口説いたとか
彼女居るのに遊ぼうとしてるとか
そんなん俺には関係ないわけよ。
彼女泣かすなとか
そんな偽善的な事を
言うつもりなんか
イチミリもねぇわけさ」
これは警告。
手を出すわけでもない
怒鳴るわけでもないのに
圧倒的な威圧感が
俺の首に巻き付きて
ユックリ締め上げて行く様だ。