白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第3章 消せない昔、消えない今(前)
「そんなの当たり前だろ?
俺は姫凪ちゃんが…」
『良かった!ありがと!
助けてくれてありがとう
これからも宜しくね!』
クロの声を無理やり掻き消したのは
聞こえた気持ちをなかった事にしたのは
信じるのが怖かったから
「え?あぁ…そうだな…
今から研磨の家でも乗り込むかァ?
お菓子買い込んで
パーティーだ!」
『うん!そうだね!』
友達なら
誰も傷付かないと思いたかった
私が気持ちを押し込めて
蓋をしたら
ずっと側に居られると思った
そこまでして
側に居たい理由が
恋だなんて
認めてしまったら
笑い会えなくなりそうで
必死に気持ちを誤魔化した
会う度に弾む心を
見てみぬ振りし続けた
「まぁたボーッとしてる
(そんなにヨカッタの?
クロちゃんとのエッチ)」
『及川さん!!
耳元で話さないで!
無駄にイケボなんですから!』
過去にトリップしてた
私を現実に引き戻すだけにしては
イケ過ぎてる声に
身体を離すと
「大きな声で言ったら
困るの姫凪ちゃんでしょ?
早く食べなよ?
仕事オタクの先輩もそろそろ
帰って来るよ」
苦笑いを零して
頭を撫でる