白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第3章 消せない昔、消えない今(前)
力いっぱい抱き締められると
凄く幸せ…なのに
「…姫凪、大好き
もうちょい…こうしてて?
姫凪、気持ちいい…」
身体をなぞる指には
それとは逆の反応を示してしまう
「なに?感じてる?
そんなに震えて」
『は、はい…』
ウソ。
感じてるんじゃない
ただただ怖くて震えてるだけ。
なんでなの?
大好きなのに
幸せなはずなのに
身体の奥が
先輩を拒絶してる
さっき言われた研磨くんの言葉が
頭に蘇って
脳を揺らして来る
ー意地っ張り。
素直になれば楽なのに
こんな事されても
何にも感じないんでしょ?
おれにも…先輩(カレシ)にもー
何度もその言葉を
否定しようとするけど
身体に這う指
拒絶する気持ちは
大きくなるばかり。
"ヤメテ"
口を付きかけた、その時。
「…えっと…声掛けちゃダメな
タイミング…デスヨネー」
心も身体も頭の中も
全部を停止させる声
「黒尾じゃん
何してんの?」
「いや、べつに…その…」
「まさか姫凪を
追ってきた、とか?
バイバイした所だろ~
そんなに気に入ってんのかな?」
「違…俺、は…」