白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第3章 消せない昔、消えない今(前)
袋の中をボーッ覗く私に
少し照れた様な声が届く
『及川さん、もしかして
ワザワザ買って来てくれたんですか?』
皆より先に帰って来たって事は
結構走ったりしたよね?
よく見たら額にまだ少し汗が残ってる
「別に!昼食べすぎたから
軽く動きたかっただけだし!
チームでクロちゃんと姫凪ちゃんだけ
来てないって絶対ご飯食べてる
場合じゃない流れだろうなって…
悪かったね!お節介で!!」
なによ…それ…
『…いえ、お腹空いてたので
ありがたく頂きます…
夕食浮くのも助かります』
ムカつくとか思ったの
悪い気持ちになっちゃうよ
気恥ずかしい気持ちを隠す様に
ボソボソと言葉を吐き出すと
「喜んで貰えて良かったよ
キミも大事なチームの一員だからね
倒れられたら困るしさ
ほら、仕事あるんでしょ?
お茶淹れて来てあげるから
座って続きして来なよ」
いつものチャラい笑顔とは違う
少し幼く見える笑顔を向けて
私の背中を軽く押す
『お、お茶くらい自分で
……いえ、お言葉に甘えます
渋めが好きです』