白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第7章 新たな幕開け
フワリと浮かんだ思考に
モヤモヤと胸の中が
ヤキモチで燻る
『及川さん…』
ちょっとなら詮索しても…と
向けた視線の先には
極細になってしまった人参が
握られてて
ぎこちない動きの包丁の刃は
「今のは久々すぎて
手元狂っただけ!
人参くら簡単…に…っぃたぁ!」
『ぅわ!何してるんですか!』
及川さんの指をザックリと傷付ける
「へーきへーき
これくらい…」
『水で流しててください
救急箱持ってきますから』
慌てて
キッチンを後にして
救急箱を取りに行く
私の頬は少し緩んでた
あの感じ
きっと料理とかしたこと無いよね?
元カノさんとの
ラブラブクッキングは
私の考え過ぎだったっぽい。
と、言う事は…
『見せてください
血が止まれば
大丈夫だと思うけど
痛みは長引くかも…』
ねぇ?及川さん。
「うん…そうだね…
痛い…かな」
『私が頼んだから…
ごめんなさい…』
慣れない事を口実にしてまで
側に来てくれたって
思って良い…のかな?