白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第7章 新たな幕開け
「姫凪ちゃーん
開けてー」
『は、はい!
今オートロック開けます!
玄関の鍵はあいてます!』
エントランスに響く
焦った声
そんなに緊張しなくても
…俺、だから?
まだ信用されてないのかな?
って!ネガティブ禁止!
今から信用を勝ち取れば
良いだけの話!
開いたドアを抜け
エレベーターの中でも
シュミレーション
とりあえず接近は禁物
食べちゃいたくなるからね
会話もチャラくならないように
赤葦くんを意識するくらいで
ウンウン、一人で頷いて
部屋の前
「お邪魔しまーす」
ゆっくり玄関のドアを開ける
『イラッシャイ…マセ』
エプロン姿で俺の側まで
ちょこちょこ歩いて来る姿は
せっかくのシュミレーションを
無駄にしそうな程
可愛いくて
「ただいまって言えば良かったな
何か奥さんに迎えられてるみたい」
思わず口をつく言葉
『奥さん!?
もう!からかわないで!
材料、ください!
作りますから!』