白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第7章 新たな幕開け
『…ありがとう
クロは優しいね』
本当はナンデモナイって
言うつもりだったけど
クロの声が
優しくて暖かい手が
気持ち良くて
ついつい、甘えた声を出してしまう
「今更かよ!
まぁ、俺が優しいのは
お前にだけだけどなァ…!」
『え~…受付の子とか
総務の子とかにも
ガッツリ優しいくせに~…』
「どこが!?
オマエの目は節穴ですかァ!?
及川くんよりゃモテねぇって」
『…及川さん、ね…』
やっぱりモテるよね
そりゃモテるよね
それなのに私なんか…
「…ったく!
そんな顔しないでクダサイ!
今日は久々に仕事終わり
予定ないから
飯食いに行こうぜ?」
暗くなる私の顔を
大きな手で挟み
「話せば楽になる
道も見えてくる、な?」
真っ直ぐ目を見て囁く
『…良いの?』
「良いって。
言ったろ?俺は姫凪の
味方なんですぅ!
ほら、火傷の処置して
化粧も直して来い!
赤葦にどやされる前にな!」