第25章 太陽の欠片盗難事件/キッド
「コナンくん!」
「よう名探偵、お前も下見か?」
「いや、俺はおっちゃんについて来ただけだ。分かりやすい予告状だったから今回は下見もいらねーよ。」
「ほーそうかい。」
私を置いてけぼりにして2人の会話は進んでいく。
「今回は鈴木財閥のところじゃねーから来ないと思ったぜ。」
「おっちゃんがここの院長に呼ばれたんだよ。ああ、中森警部も来てるみたいだぜ。」
「そうみてーだな。さっきそこで見かけたよ。」
キッドは入口に目を向ける。ガラス張りの扉の向こうに警察車両が何台も止まっているのが見えた。
「ま、下見も済んだし俺は帰るぜ。じゃーな、オネーサン。」
名探偵もまたな、と彼は手を振って人ごみに紛れていった。
◻︎
「さくらさん、キッドと知り合いだったんだ。」
ところ変わって私の自宅。
蘭ちゃんが合宿でいないというので、コナンくんを夕飯に誘ったのだ。
病院ではあの後すぐに私のPHSに連絡が入ってコナンくんとは別れざるを得なくなってしまった。
何か言いたそうな顔のコナンくんにご飯食べながらゆっくり話そう、と約束させて今に至る。