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[名探偵コナン]マティーニにお砂糖を

第25章 太陽の欠片盗難事件/キッド


世界の灯がその姿を隠す時
大翼の飛びさる処より
太陽の欠片を頂きに参ります

キッドからの予告状は新聞やテレビで大々的に報じられた。
予告状の解釈は様々な憶測が飛び交い、キッドがいつ現れるか分からない、と病院には報道陣が泊まり込むようになった。
全くもって迷惑な話だ。
噂によると事務長が再三注意をしているが聞き入れてもらえない、と頭を悩ませているらしい。


予告状の文面までキザったらしい、とあの日の彼を思い浮かべた。
と、何気なくロビーに目をやるとごった返す人の中に見知った後ろ姿を見つけた。

「下見ですか?怪盗キッドさん。」
近寄ってトンと肩を叩いてやると、驚いた顔で彼は振り返った。
「あの時のオネーサン!」
何でここに、と言いかけて私が着ていた白衣に気が付いたらしい。
「医者、だったんすね。どうりであの時の治療が上手かったわけだ。あれ、もう綺麗に治りましたよ。」
ほら、と彼は腕を捲ってみせた。
その言葉通り、うちの植木鉢で作った切り傷は跡もなく綺麗に治っている。

「それはそれは。ところでアレ、何とかしてくれない?営業妨害なんだけど。」
絵の前を占拠している報道陣を顎でしゃくる。
「あんな訳分かんない予告状なんて出すから、アンタがいつ来るかと思ってずっと待ってるのよ。やめてくれって声明出してくれない?」
すると彼はハハッと笑って顔の前で手を振った。
「ワケワカンナイ?それは頭を使ってないからさ。ちょっと考えればすぐに分かる簡単な暗号ですよ。」

「そうだな、今回はオメーにしては簡単な予告状だったぜ。」
2人で声の方向を向く。
するとそこには不敵に笑うコナンくんが立っていた。
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