第2章 もがれた翼
「俺は次期、極東翼竜会総長だ。そんな口、聞いていいのか」
座敷が静まり返った。
親父がくっくと笑った。
「てめえら…いいか…跡目は、智だ」
それきり黙りこんだ。
東山の叔父貴と、近藤の叔父貴は布団際から動かない。
この人達はあくまで中立だ。
松岡の叔父貴、山口の叔父貴、国分の叔父貴…この人達は俺の味方といっていいだろう。
俺の斜め向かいに立つ小杉の叔父貴とその一派が、俺の跡目相続に強い異を唱えている。
「笑わせるんじゃねえぞ…智…どんな手を使って親父を誑し込んだんだ…え?その女みたいな顔か?身体か?」
ピリッと…
空気が変わる。
松本と二宮がじりじりと俺の近くへ寄ってくる。
俺を止めようとしている。
「もう一度言ってみろ…」
「組長…」
相葉が俺を止めに掛かる。
「小杉…もう一度言ってみろ?」
大きな声で言った瞬間、後ろ頭をひっぱたかれた。
「イッてえな!なにしやがんだ!」
国分の叔父貴が俺の胸ぐらを掴んだ。
「勘違いすんな!まだてめえは喜多川一家の舎弟だ!総長になってからそんな口ききやがれ!」
「ああん!?」
その時、パアンと弾けるような音がした。
音がした方を見ると、喜多川の姐さんが小杉に向かって扇子を投げつけていた。