第2章 もがれた翼
「総長の病床でそんな口、きいてるんじゃない!出ていくんだ」
「はっ…姐さん、すいませんでした!」
小杉は土下座すると、扇子の当たった額を擦りながら座敷から出て行った。
「智も…なに挑発に乗ってるんだい…ケツの青いガキじゃあるまいし…」
「すいません…でした…」
姐さんはすっと白い手を上げると、たもとを直した。
もうすぐ60歳だというのに、瑞々しい美しさだった。
「総長、ここに居るもの下がらせますね?」
そう言って姐さんは俺達にしっしとやった。
親父はなんの反応も示さなかったが、俺達は座敷を出た。
山口の叔父貴に目で示されて俺たちは後を付いて行った。
いつもの座敷に入ると、また俺はぽかりと殴られた。
「おまえなあ…」
「いってーな!」
「馬鹿野郎!もっとやり方ってもんがあるだろうが!」
山口の叔父貴にまで殴られて涙目だ。
「勘弁してやってください…兄さん方…」
二宮がすっと俺の前に立った。
斬れるような雰囲気を纏ったままだ。
「二宮…下がれ」
「はい…」
叔父貴達は、そんな俺達を真剣な目で見ている。
「小杉の兄貴の事になると、お前らマジになるな…?なんでだ?」