第2章 もがれた翼
「親父…智が来ました」
傍らの叔父貴が声をかけると、親父は目を開けた。
「智…遅かったな…」
「申し訳も…」
「なぜ、呼んだらすぐ来ない」
「シマでサツと揉め事がありまして…」
親父は目を閉じると、喜多川の姐さんに向かって手を伸ばした。
姐さんはすぐに着物の懐から、封筒を取り出した。
親父はそれを受け取ると、俺に渡した。
「跡目、智に預ける」
途端に周囲の叔父貴が立ちあがった。
松岡と山口の叔父貴が俺の盾になるように立った。
後ろから二宮と松本が走りだして更に前に立った。
相葉と国分の叔父貴が、そっと俺を後ろに下がらせた。
「ふざけるんじゃねえぞ!智!」
「なんだっててめえみたいな若造に!」
松岡の叔父貴が二宮をどける。
「てめえら…親父のいうことが聞けねえのか…」
迫力のある声に、誰も声が出ない。
「智のこと…頼んだぞ…」
親父のか細い声が聞こえる。
座敷の中が静まり返った。
「いうこと聞かない奴はぁ…破門だ…」
「親父!あんまりです!」
「なんで智の野郎なんですか!」
「小杉の叔父貴…そりゃ、あんまりじゃないですかね…?」
俺を一番敵視してる、小杉の叔父貴に目を向けた。