第2章 もがれた翼
「よー!大野のところのボン!」
松岡の叔父貴と門の外でばったり遭った。
すぐに俺の耳元に囁く。
「早いとこ、帰れ」
そう言うとすぐに身体を離す。
「あ、もうボンじゃないんだっけなあ…組長さんよぉ…」
ぐしゃぐしゃと、わざと俺の頭を撫で回す。
「勘弁してよ、叔父貴」
じっと松岡の叔父貴の目を見ると、叔父貴は目から笑みを消した。
「腹ぁ括ったか?」
「そんなもんとっくに括ってあるんだけどよ…」
そういうと、叔父貴の目は少し優しく緩んだ。
「おめえは…下のモンに思い入れ過ぎるんだよ…」
そういうと、乱暴に俺と肩を組んだ。
「親父のとこまで、一緒に行ってやるよ」
助かった。
これで少なくとも、親父のところまでは他の叔父貴に絡まれることもあるまい。
「松岡組長、大野組長、ごとうちゃーく!」
「お疲れ様でございます!」
「お疲れ様でございます!」
門をくぐると、親父の若衆がずらっと玄関まで並んでいる。
通る傍からあいさつをしていく。
今日は親父からの招集で、一家の主だった幹部が集められているから、出迎えも丁重だ。
玄関に着くと、引き戸を両側から開けられ、俺と松岡の叔父貴は、中に入った。
敷石に靴を脱ぐと後ろを振り返る。
「若頭以外、ついて来なくていい」