第22章 花いちもんめ✔
「…最低…」
弱々しい声でそれだけ告げたかと思えば、ふいと顔を逸らす。
蛍のその姿に、ぱちりと虹色の瞳を瞬いて今度は童磨がぽかんと呆気に取られた。
「…わあ」
かと思えば、鋭い牙を備えた唇の両端が上がる。
「蛍ちゃん、可愛いねえ」
「…は?」
「なんだろう。俺、今とっても胸がきゅんってしたよ。なんだろうね? この感情。蛍ちゃんのその涙とその顔、もっと見たいなあって思っちゃった」
「……」
「わあ、すっごく冷たい目だね! 虫けらにでもなったような気分だよ!」
「虫けらを見てる気分です…」
「あははっ蛍ちゃんは冗談が上手だね!」
「冗談なんかじゃ…っ!?」
「驚かせてしまったお詫びに、たんと抱いてあげよう」
「っちょ、終わっ…!」
「終わってないよ。だって俺がまだ気持ちよくなっていないだろう?」
「ひぐ…っ?」
「うん、まだ奥までいけるね。ここ、気持ちいい」
「あ、は…!」
逃げるように前へと体を倒す蛍を、そのまま床に膝立ちさせると、後ろから両手首を握り上半身を引き上げた。
ぐ、とより深く繋がる互いの熱に、蛍の中もより奥まで貫かれる。
空気は一度第三者により中断したものの、童磨自身は微塵も止める気がないようだ。
そのまま腰を振り始める童磨に、ぱちり、ぱちゅりと愛液混じりの卑猥な音が響く。
「そ、れ…や…! ひ、あッ」
「声に艶が出てる。奥擦られるの、気持ちいい? ここ?」
「んあッぁあッ」
「ハァ…っいいよ、蛍ちゃん…っ俺も凄く気持ちいい…ッ」
「奥、も…っやぁ…ッ」
もしまた誰かに聞かれたら。
そんな恐怖は残るのに、熱に浮かされた体は簡単に根を上げてしまう。
否定の声は弱々しく、喘ぎ声は高く。
自分の意思とは異なる反応を示す体に、蛍はじんわりと視界を涙で濡らした。