第1章 最底辺だって、幸せは身近に
「だって…さっきまであいつらと一緒で、買出しに行かされて、すげー不満で…」
チョロ松が一歩踏み出し、私に近づく。
「今は、偶然会った雪菜さんとご飯食べて、雪菜さんの部屋にいて…」
腕を伸ばして、私を抱きしめるチョロ松。
「こうやって、雪菜さんを抱きしめても、許されるなんて…」
「チョロ松…」
「夢みたいだ…」
両腕に力が込められる。
「チョロ松…ちょっと痛い…」
私は、思わず笑ってしまう。
「夢じゃないよ、チョロ松」
手を伸ばしてチョロ松の頬を摘んだ。
「全然、痛くないかも」
「もぉ…」
近くで笑うチョロ松の顔は、すごく優しい。