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第8章 空白の時間


『……キス、マーク?印、これでついたの?』

「おう、俺にされたの思い出してって無茶振りしたつもりだったのにマジで付けやがったよお前…まさか出来ちまうとは思ってなくて流石にビビったわ」

キョト、としていれば抱きしめられて、褒めるように撫でられる。

『えへへ………もっとする』

言った途端に中也さんの手がビクッと止まる、

「はっ!?もっとって、お前何考えてッ…!!?」

言うが早いか、すぐに中也さんの首元や鎖骨周りにたくさんたくさんキスをして、リップ音を立てていっぱい印を付ける。

流石の中也さんでもこの刺激には慣れてはいないらしく、相手が私だからか強く引き剥がすことも出来ず、顔も赤くなっていた。

『印ー…中也さん中也さん、私もっと付けたい』

「お、まッ…散々付けておいてまだッ!?どんだけ付けるつもりだよ!?」

『中也さんは私のなの、こんなんじゃ全然足りないの』

「んなッ!!?」

バッと更に顔を赤くして驚いて、すぐに中也さんは自身の服装を整え直した。
まあ、それでも付けに付けた印の一部が隠しきれてはいないのだけれど。

そして、なんなら手にでも付けてしまおうか、と中也さんの手に触れた時。

その手を取られて、今度は中也さんからキスを落とされた。

印を付けるようなものじゃなくて、もっともっとロマンチックな気持ちになるような、触れるだけの長いキス。

指は指でビクリとそれに反応してしまって、段々と恥ずかしくなってきた。

『ちゅ、やさ…っ?』

「…お前は俺のもんだが…………確かに俺は、お前のもんだ」

『!?…何っ?ちゅ……っんッ』

名前を呼びきることもさせずに、中也さんは私の羽織っていたボレロをはだけさせて、項付近に口付けてそこを吸った。

「……ははっ、すっげえ真っ赤」

私の顔を見て微笑む中也さんに更に心臓を撃ち抜かれたようにドキリとして、中也さんの目を見つめた。

「なんだ…随分そっちが物足りなさそうだな」

『…ッ、何でもな……っぅ…………ッ』

そして結局私の考えてる事はお見通しらしく、後頭部に手を回されて口付けられ、ヌルリと中に舌が入ってきた。

しかしそうしてからすぐに中也さんは口を離してしまい、私に向かってとんでもない事を言い放つ。

「…………蝶、お前…自分からやってみるか?」

『自分から……って、えっ…自分から…!?』
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