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第26章 帰郷


「蝶、俺はちゃんと言ったよな?お前が自分のもんになってくれるのが一番嬉しいぞって…なんで俺のことなんか呼んでるんだよ」

『ぁ…っ、や、めッ…喜助さん、見ちゃやぁ…っっ!!』

中也に力で敵うはずもなく、手をのけられてシャツのボタンまで外される。

予想外すぎる展開に頭の中はもうぐちゃぐちゃだ。

「…中原さん、どうしてそんな?嫌がってますよ」

「あんた、こいつから迫られなかったのかよ?一回も?…そんなわけねえだろ、こいつはそんなに甘えんのが上手じゃない」

「!!…、強制的にも程がありますね…けど確かに、この子にとっては一番それがよく効く……でも、一体どうしてそこまでして?」

「蝶があんたに何かをしたかったんだと…どうしてなのかは知らないが、どうしても何をどうしてあげりゃあんたが…離れてた分も喜んでくれるか、知りたかったらしい」

「……折角三日間時間あげるって言ったのに、貴女って人は…」

やっぱり、時間猶予の宣言だった。
喜助さんが、そんなに時間をかけてまでするような作業は普通は無い。

この人は私の心情を見越して、そんな猶予をくれていた。

「?三日…あげるって、あんた……こいつがなんで焦ってたのか知ってるのかよ」

「そりゃあ勿論、分かります…まだ覚えててくれただなんて驚きましたけど」

くしゃりと笑った喜助さんは、羞恥で真っ赤な私の顔を覗き込んで、その答えを口にした。

「…あっちで三日………尸魂界では明日、僕の誕生日ですもんね」

「え…?」

『あ、…っ…そ、そんなんじゃなくて、ただ久しぶりだか、らッ…ぁ…』

「ふふ、隠さなくたっていいのに。…ありがとうね、僕の誕生日のために、自分のこと丸々差し出そうとなんてしてくれて…でも、君が生きていてくれただけでも、僕にとっては十分すぎる贈り物だ」

自分が最初にお祝いしたくて…なんなら一人占めしたくて、誰にも話さなかったんでしょう?
僕の誕生日なんて覚えてくれてるの、君くらいのものですよ。

なんて全て言ってのけてしまう喜助さんに、思わず顔を両手で隠して必死にその視線から逃れようとする。

「…それなら余計に俺なんか呼んじゃダメだろあんた」

「どうして中原さんが怒るんすか、僕は…貴方の大事なこの子に手を出そうとした人間ですよ?」

「あんたにとってだって大事なんだろうが…ッ、」
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